こんにちは。カスタマーサクセスリードの佐藤舞姫子です!

私はAutify正式リリース直前の2019年9月に、一人目のカスタマーサクセスエンジニアとして入社しました。ご利用頂いているユーザーの皆様のご支援の元、会社としてもプロダクトとしても急成長中のAutifyですが、それに伴い、顧客の利用を支えるカスタマーサクセスチームも大きな変化を遂げています。特に、正式リリースから4ヶ月後の2020年2月に2人目のCSメンバーが入社して正式にチームになってからの1年は、まさに山あり谷あり怒涛の1年でした。

チーム設立から丸一年というこの節目に、AutifyのCSの「これまで」を山も谷も全部ひっくるめて振り返って「これから」を考えてみたのが当記事です。

代表近澤による、会社とプロダクト観点での振り返り記事もあります。こちらもぜひご参照ください!
Autify正式リリースから1周年、これまでの軌跡を振り返る

※この記事内で「CS」と書いている箇所では「カスタマーサポート」と「カスタマーサクセス」の両方を指します。チームの名称は「カスタマーサクセスチーム」ですが、チームで一丸となってサクセスもサポートもしているためです。

これまで

代表近澤が対応していた古の時代
〜 2019年9月以前 〜

プロダクトとしてのAutifyはまだクローズドβで、わずか4名の社員で運営しており、専任のカスタマーサクセスもカスタマーサポートも存在しませんでした。

AutifyをBurning needsを解決するプロダクトとするべく、代表自らがお問い合わせ対応も、利用状況の確認も、リリースノートを配信するのも対応し、直接Voice of Customer(以下VOC) に接していました。

この頃、
「問い合わせする前に近澤さんからサポートのコンタクトがあって驚いた」
とGA Technologiesさんがブログに書いてくれています。
Autifyを試してみました(E2E自動テストツールの話) – GA technologies GROUP Tech Blog

1人目のCSが入社
〜 2019年9月 〜

9月にカスタマーサクセスエンジニアとして私、佐藤が入社しました。

1人目のCSメンバーだったので、それまで近澤がやっていた業務の引き継ぎや、ほとんどないに等しかったドキュメントの整備を中心に、実に様々な業務を担当しました。

以下はその一部です。

  • 問い合わせ対応
  • Burning needsのヒヤリング
  • テスト結果の調査のワークフローの整備(開発チームと協力して)
  • テスト結果の一次調査
  • ドキュメント作成(特によく来る質問のFAQ化)
  • 利用状況の分析
  • UI/UXの確認
  • ハンズオンの実施

入社直後はまだ公式ローンチ前で、ご契約いただいているお客様も多くありませんでした。そのため、問い合わせなどのリアクティブな業務はそこまで逼迫しておらず、利用状況の分析やそれに基づくプロアクティブなアクションが積極的にとれていました。

詳しくは後述しますが、公式ローンチ後は今に至るまで、なかなかこの頃ほどプロアクティブな業務の比重を上げることができずにおり、進行形の課題となっています。

待望の公式ローンチ!怒涛の問い合わせでパンク
〜 2019年10月 ー 2020年1月 〜

10月2日に公式ローンチをむかえるやいなや、ご利用申し込みが殺到。
数日で100件以上の新規のお申し込みを頂きました。

更に11月の中旬にTechCrunch スタートアップバトル 2019に出場し、見事ファイナルラウンドに進出したことでその勢いは加速し、前途洋洋といえる滑り出しでした。

Tech Crunch Tokyo 2019 のAutifyブースで観衆に囲まれる近澤

Tech Crunch Tokyo 2019 で3つの賞を受賞したAutify

しかし、ご契約が急激に増えた分お問い合わせも一気に増加、12月になる頃には日々の問い合わせ数が1人で処理できるキャパを完全に超えてしまいます。

この頃のことは近澤の記事にもあるのですが、問い合わせ数が急増しただけでなく、大きな新機能の開発を優先するため既存のお客様の対応に割くリソースが不足してしまい、調査やバグ修正の対応が長期化する状態にあったこともキャパオーバーの一因でした。

毎日社内に進捗の確認をしては、お客様に進捗がないことを謝罪する。

この頃の私にできたのはそれだけで、謝罪をどれだけ重ねたところで問題が解決しない以上、解約を選択するお客様が年末年始にかけて続出してしまいました。自分の無力さを日々痛感するしかありませんでした。

連日終電まで対応してもまわりきらないくらい問い合わせは逼迫していましたが、業務量的な大変さよりもカスタマーサクセスエンジニアとして会社のためにもお客様のためにも、なにもできないもどかしさが募って精神的につらかったのがこの時期です。

ですが、年が明け、全社的に既存のお客様を大切にする方針が明確に打ち出されました。それに沿って業務を整備したことで状況が目に見えて改善しました。

※以下は2019年9月から2020年6月までの問い合わせ数の変遷です。
オフィシャルローンチした翌月の2019年11月に一気に増加し、年度末まで多い状態が継続しましたが、上述の方針転換が効いてきた4月以降はグッと量が減っていることがわかります。

2019年9月から2020年6月までの問い合わせ数の変遷

2人目、3人目のCSメンバーの入社
〜 2020年2月 ー 4月 〜

年が明けてからもご利用のお申込みはありがたいことにたくさんいただいており、新規の問い合わせの数は増加傾向でしたが、年始に打ち出された既存のお客様をより大切にする方針とそのための業務改革の効果があらわれはじめました。

調査やバグ修正にかかる時間が短縮したことで顧客感情は大幅に改善し、解約も目に見えて減りました。

さらに、2月にカスタマーサポートエンジニアの齋藤、4月に同じくカスタマーサポートエンジニアの荒木が入社し、私1人の状態からようやくチームになったことで、処理できるお問い合わせの量も徐々に増えていきました。

無償トライアルスタートとお問い合わせパンク再び
〜 2020年5月 ー 7月 〜

この頃、全世界的に新型コロナウイルス感染症が猛威を奮っており、Autifyでは2020年2月半ばからフルリモート勤務を実施していました。6月にはオフィス解約に踏み切り、その後の全社イベントなどは都度イベントスペースを借りる形になっています。 入社時期によっては、入社から数ヶ月経って初めて全社イベントで初めて顔を合わせることもあり、例えば4月に入社した荒木が他メンバーと実際に会ったのはなんと3ヶ月後、7月の全社イベントが初めてでした。

コロナ禍で実施したall hands

無償トライアルを始めたのもこの時期です。

実は公式リリース以降Autifyは有償契約しか提供していなかったのですが、4月の半ばから無償トライアルの受付を始めました。それによりご契約社数が一気に増加し、5月からしばらくお問い合わせ対応で再びパツンパツンに。

チームが3人になったことで、5月から週次でKPT(振り返りの一種。起きた出来事や改善点をKeep-Problem-Tryの3つに分けて議論する)を実施するようになっていたのですが、頻繁に業務過多であることがProblemとしてあげられており、問い合わせ対応の影響でなかなかチーム体制を思うように整えられないまま第3四半期に突入します。

CSチームのターニングポイント
〜 2020年8月 ー 9月 〜

8月にカスタマーサクセスエンジニアの堀が入社して、CSチームは4人になりました。

この頃の私は

「自発的なメンバーが揃っているしオンボーディングも進んできたから、問い合わせ対応以外もどんどんみんなで回してチームのキャパを上げたい」

と考えていたのですが、その一方で相変わらず次々に届くお客様からの問い合わせにお答えするのが精一杯という状況は継続していました。それに加えてチーム全員の問い合わせの温度や方針を合わせることに苦戦していた時期でもあり、なかなか他のメンバーにタスクを依頼できる粒度に落とし込む作業が進められませんでした。

この頃やりたくてできなかったことは例えば

  • カスタマーサクセスらしいプロアクティブなアクションをとるための環境整備
    • どういう値を確認すべきで、それぞれどういうアクションを取るべきか検討
    • 自動化できるところの洗い出しと自動化設定
    • 必要な値の可視化
    • intercom(サイト内の問い合わせに使っているツール)にセグメントを作成
    • metabase(オープンソースのBIツール)でSQLを書きまくってサクセス用のダッシュボードを整備
    • など
  • 問い合わせ対応の効率化
    • 問い合わせ状況の可視化
    • 問い合わせ状況の分析
    • 問い合わせフローの見直し
    • など
  • CSチームの業務フローの標準化と明文化
  • ユーザー向けドキュメントの追加とメンテナンス
  • テスト結果の調査作業の改善
  • フィードバックの取り扱いの改善

などなどなど…

とにかくたくさんあったのですが、タスクを渡しようがないまま私が抱えっぱなしになったり、粗い粒度で渡した結果、成果物に齟齬が生じてしまうことが多々起きるという有様でした。

他のメンバーからすると
「問い合わせ以外の業務や会議も巻き取りますよって言ってるけど任されない。振られたタスクをやっても修正が多く入る」
という状態となっており、9月に入り、作業の分担や振り方について、衝突と表現しても良いような激しい議論になりました。この議論をきっかけに、

as isのCSチームはどんな状態 で to beはどんな状態か

腰を据えてざっくばらんに話し合う時間をとりました。

このときにはまず私から

  • 今抱えている業務
  • やりたいけどやれていない業務
  • 分担できる(または将来的にしたい)と考えている業務

といった観点で業務の棚卸しと共有をして、巻き取りたい気持ちに応えられていないことに対する謝罪と、as isについて認識合わせをしました。

そして4人全員が順番に

  • これまでどんな経験をしてきたか
  • 得意だと思っていることはなにか
  • 今後Autifyでやりたいことはなにか
  • どういう問題意識を持っているか(対象は会社・プロダクト・チーム問わず)

といった経験や想いを共有し、to beについて考えました。

話し合ってみると、すれ違いは生じていたものの、 全員の言動の根っこにはプロダクトやチームを良くしたい気持ちがある ということがわかりました。これは非常に大きな収穫でした。

9月の終わりには Movie Critic という手法で第3四半期の振り返りを行ったのですが、

「各自の強みを活かして分担を進める」

という方向性で全員が一致しており、議論の効果を感じましたし、数ヶ月経った今振り返っても、このタイミングで腹を割って話せたのは結果的にとても良かったと考えています。

この議論ができたから、今のCSチームがあると言っても過言ではありません。

Q3 movie critic timeline board

Q3 movie critic movie board

Q3 movie critic action board

チームとして本格始動!
〜 2020年10月 ー 現在 〜

現在はQ3で擦り合わせをした各自の強みややりたいことの方向性に合わせて

  • 齋藤はカスタマーサポートのスペシャリストを目指しサポートに特化
  • 荒木はCS周りの各種値の可視化やユーザーコミュニティの運営
  • 堀は有償のTAMサポートの対応やカスタマーサクセス業務の整備
  • 佐藤はチーム全体をひっぱる(+マネジメント)

と主担当を割り振っています。

特化して分担することで推進力強化を優先しつつも、作業状況の共有や手順をドキュメントに残すことをチーム全体で意識し「特定の1人しかできない業務」は残らないように努めており、いい感じにチームのキャパが上がってきました。

できることが増えると更にやりたいことは増えてしまうもので、今でも
「やりたいけどやれていない業務」
は山ほどあるのですが、2020年の春や夏に抱えていた「やりたいけどやれていないこと」は今ではほとんど残っていません。

CS team members of Autify

これから

チーム全体をどうしたいか

昨夏の衝突を乗り越えて、今では

同じ目標に向けて細かい指示がなくても各自がすべきことを判断したり行動に移すことができる、自律的なチーム

になっており、日々各メンバーから問題提起や改善提案が活発に繰り返され、チームはどんどん進化しています。

今後チームが拡大していってもお互いの自主性を尊重して個々人の強みが活かされるチームであり続けるために、MTGやタスク管理を試行錯誤している真っ只中です。

カスタマーサクセスとカスタマーサポートをどうしたいか

今後もサクセスとサポートに上下関係はなし!

よくカスタマーサポートのほうがカスタマーサクセスよりも下であると誤解されるのですが、Autifyの場合はカスタマーサクセスとカスタマーサポートは上下関係になく、あくまで

  • カスタマーサクセスは攻めのサポート
  • カスタマーサポートは守りのサポート

と主戦場が違うだけでどちらもとても重要なものと捉えています。

Autifyという会社の最大の特徴は「Burning needsの解決」とその前提となる「Burning needsの特定」の重要性について全社的に意識が浸透していることです。Burning needsを特定するにはVOCに耳を澄まし丁寧に掘り下げることが肝要であると代表自身が経験を通じて理解しており、それは企業のバリューにも反映されています。

日々大量のVOCに直接触れるカスタマーサポートはBurning needsを解決するキーとも言える存在であり今後も軽んじることはありえません。

その代わりに、Autifyのカスタマーサポートはお客様の問い合わせの裏側にどういうペイン(=悩みや苦労)が存在するのか考え抜く力が強く求められます。言葉通りに受け止めるのは簡単ですが、本質的なペインはお客様自身も無自覚なことが多く、適切に掘り当てるためには、テスト業務や開発業務についての知識も必要になります。また、複数のペインを俯瞰して「Burning needsはどれか」を判断するために、ペインの内容やその背景を社内に過不足なく共有することも大切です。

専門性を高めて業務の棲み分けを進めつつ分断はしない

現状は、
「問い合わせ対応にひきずられてプロアクティブなアクションを十分に取れない」
という課題を抱えていることもあり、カスタマーサクセスエンジニアとカスタマーサポートエンジニアでふんわり攻めと守りで分けているものの、明確な区切りはなく、多くの業務にチーム全体で当たっています。

今後は、プロアクティブなアクションの分量を増やしていくことがチームの大きな目標のひとつとなっており、それに伴いサクセスとサポートの担当範囲がより明確になっていく見込みです。

ただし、

  • 「お問い合わせ対応は全てカスタマーサポートで」
  • 「問い合わせにない利用状況の確認は全てカスタマーサクセスで」

のような分断の予定は今後もありません。

リアクティブなお問い合わせ対応を通じて多くの顧客とやりとりし生のVOCに触れることはカスタマーサクセスに活きると考えますし、お問い合わせにない範囲でもプロアクティブに利用状況の確認をすることはより質の高いカスタマーサポートにつながると考えるためです。

攻めと守りとの専門性を高めつつも、サポート・サクセスの枠組みを超えて
「Autifyをより効果的に活用していただき、開発効率を上げるお手伝いをする」
という共通の目標に向かって手を取り合ってチーム全体で邁進します。

採用予定

そんなわけで、今後もプロダクトの成長に合わせてどんどん拡大予定です!

  • テストフェーズで苦労したことがある方
  • チームや会社の発展に関わりたい方

はもちろん

  • Burning needsを解決してプロダクトを改善していくことに興味がある方

にもAutifyのCSはオススメできます!

興味がある方はお気軽にカジュアル面談のお声がけください。

こんなCSチームと協力してプロダクト開発したいエンジニアも募集中です!